遺言は民法で定められた法律行為であり、遺言者(被相続人)の死亡後、相続財産の帰属につい
て親族間の紛争を回避する上で重要となってくる。遺言は、被相続人の意思を相続人に明確に
示すことができる。遺言作成者が死亡したときに、だれにどのように財産を分け与えるか、と
いうように財産分割の方法を具体的に指定することができる。
1. 遺言の効力
遺言は、被相続人の最終意思を尊重しようという制度なので、
法定相続分に優先することになる。
2. 遺言できる者
遺言は、15歳以上で意思能力があれば誰でも作成できる(民法961条)。
この場合、法定代理人(通常は親権者)の同意は不要である。
また、被保佐人や被補助人も、保佐人や補助人の同意なく遺言ができる。
3. 遺言の方式
民法に定める遺言の方式は、大きく分けて普通方式と特別方式がある。
普通方式は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言に分けられ
(民法967条)、特別方式は、臨終遺言と隔絶地遺言に分けれられる。
①自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が全文、日付および氏名を自書し、これに押印することによって
成立する遺言である(民法968条1項)。
②公正証書遺言
公正証書遺言は、遺言者が口述した遺言内容を、公証人が筆記する方式の遺言である。
煩雑で費用がかかり、秘密保持が難しいというデメリットがある反面、原本が公証役場で保
管されるため、紛失・改変のおそれがない(民法969条)
③秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言者が自己または第三者の作成した遺言書に署名・押印し、市販の封筒
などを用いて封をする。
遺言者はその封書を公証人および2人以上の証人の面前に提出し、自己の遺言書である旨を
申述する。公証人が日付および遺言者の申述を封書に記載した後、遺言者、証人および公証
人全員が署名・押印するという方法がある。
秘密証書遺言は、ワープロ・パソコン・代筆等による作成は可能だが、テープ録音による
ものは認められない(民法970条)
④臨終遺言
死期が迫り署名押印できない遺言者が口頭で遺言をし、証人がそれを書面にする方式である。
危急時遺言ともいう。これには、死に直面した原因が病気などである場合に認められる死亡
の危急に迫った者の遺言と、船舶の遭難である場合に認められる船舶遭難者の遺言の2種類
がある。
⑤隔絶地遺言
遺言者が一般社会との自由な交通が遮断された場所にいるため、普通の方式による遺言がで
きない場合に認められる方式をいう。これには、伝染病隔離者の遺言と、在船者の遺言の
2種類がある。
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